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住民参加型公園づくりにおける自生植物の保全・活用のための調整技術 ~東京都杉並区における事例~

Coordination for Conservation and Utilization of Native Plants in Park Planning with Public Participation :A case study in Suginami Ward, Tokyo

平成17年1月 造園技術報告集3, 2005

福留晴子*,石塚美詠*,藤田泰介*,大塚生美*,玉井麻子*,趙 賢一*

Haruko FUKUTOME*, Mie ISHIZUKA*, Taisuke FUJITA*, Ikumi OTSUKA*,Asako TAMAI*, Ken-ichi CHO*

背景と目的

緑化における自生種の保全・活用意義についての認識が、全国的な広がりと高まりを見せ、2004年6月には「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」が公布されている。
また、住民参加による緑化推進に自治体が取り組む動きもみられ、東京都杉並区では、1999年に「杉並区みどりの基本計画」1)において「区民の主体的な活動を一層支援して、みどりと水のまちづくりの展開を図る方針」を示している。対象地は、杉並区の地区公園となる柏の宮公園計画地(以降、計画地)で、神田川による浸食作用で形成された崖線から台地上に立地する民間グランド跡地であった。計画地周辺は、崖線・河川沿いに残存する植生や、学校・民間グランド等が集中する区内で最も緑が豊かな地域の1つであり、計画地において量・質ともに良好な緑を保全・創出することは、重要な課題であった。
このような中、住民参加型公園づくりを行う上で、自生植物の扱いは慎重を要する問題であり、専門知識を持つコンサルタントが行政と住民の間で調整役として機能することが期待される。本稿は、計画地を事例に、住民と行政の協働による「公園づくり」(公園計画・設計・管理)において、自生植物の保全・活用のためにコンサルタントが実施する、植物調査からワークショップ運営、計画・設計、自生植物保全・活用計画策定、区民の植物管理活動補助に至るまでの調整技術の手法とその効果を報告するものである。特に、植物相等の詳細な植物調査を実施し、その結果をもとに随時調整を図りながら設計を進め、また適切な時期に植物管理を開始するために区との調整を行うことを徹底することにより、自生種の確実な保全と設計・施工におけるより有効な活用を目指した。また、住民に対し、計画地の植物ガイド等を実施した上で、公園計画から植物管理実施までの参画を図ることにより、計画地の自然特性を理解する植物管理者を住民の中から得ることを目指した。

 

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suginami.pdf(107.6KB)

* 株式会社 愛植物設計事務所