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芝浦アイランド植栽総合計画立案

明治の芝浦は海辺の行楽地として栄え、その後は倉庫、工場地域として姿を変えてきた。「芝浦アイランド」はこの頃の埋立によって造成された面積約6.2ha、外周約1.4kmの人工島である。21世紀に入り「水と緑のアイランド」をコンセプトとした「都心住宅政策モデル地区」として豊かな自然環境と利便性を併せ持つ住宅街形成がこの島を舞台に展望され、弊社は「島」らしい緑をテーマとして植栽総合計画を立案した。

所在地: 東京都港区芝浦 発注者: 三井不動産、 都市再生機構 建築計画: 光井純&アソシエーツ 建築設計事務所 植栽計画: 愛植物設計事務所 照明監修: 内原智史デザイン事務所 竣工年: 2005年

 

陸域と水際のつながりを意識し、生き物に多様な生息環境を提供する島の外周緑地と多孔質構造の護岸

 

プロジェクトの特徴

このプロジェクトの特徴は、複数の街区が併存する中で「島」としてのまとまりを持った街並み景観とするために、建築と造園、照明の分野にそれぞれのトータルコーディネーター(マスター)を置いたことである。

 

Master Landscape Architectの役割

マスターランドスケープアーキテクトとして、4つの民間街区の他に、区立公園と公益施設、商業施設などが混在するこの街を、統一のとれた‘魅力ある緑の島の住宅地’とするための植栽デザインガイドラインを提示した。その要点は、以下の5点である。

島の歴史を伝える緑を残す

開発によって大半が更地となってしまう中で、この島に残る樹木の中で、圧倒的な存在感を示すプラタナスの巨樹を、誰もが触れることのできる公園の中心に移植再配置することによって、住民にこの島の歴史を実感してもらい、さらに次世代に引き継いでいく。

海辺の在来種で骨格の緑を統一する

タブノキ、ユズリハ、マテバシイ、シャリンバイなど、海辺の在来種によって骨格の緑を形成し、「芝浦らしい」植物景観をつくる。

外周園路沿いに水際のいきものとの接点をつくる

陸と水との接点部は多様ないきものが集まる要部であり、そこをめぐる外周遠路は多くのいきものとの出会いが楽しめる場所である。外周園路沿いの緑は多種類の樹木の混植とし、岩や礫によって多くの水生生物の生息拠点をつくる。

公園や街路、建物周りのスペースを連続した緑で修景する
橋詰めにシンボリックな緑を置く

島内の小公園の設計

芝浦アイランドの最大の広場で外部空間の要となり、周囲の街区をつなげる中核的な空間となる街区公園の設計を行った。多目的に利用できながら、シンボリックな空間とするため、移植されたプラタナスを中心に芝草地の広場を設けた。また、公共施設側の園庭との一体利用を促すように遊び場を園内南側へ設けた。

島に存在したプラタナスの巨樹の移植

定植3年後のプラタナス巨樹

多様な在来の海辺の植物で構成された外周の緑

橋詰に置かれたシンボリックな緑

プラタナス巨樹と芝草地の広場で構成された島内街区公園は、外部空間の中核を成す