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海岸砂丘地での企業研究施設周りの修景技術 -植生管理を中心として-

Landscaping Technique Surroundings of the Training Facilities in the Costal Sand Dune -Focusing on the Vegetation Management-

平成21年2月 造園技術報告集 Vol.72 No.5

趙 賢一** 、佐藤 力** 、山野 秀規** 、山本 紀久** 、日置 佳之*、大塚 生美**

Ken-ichi CHO**, Riki SATO**, Hideki YAMANO**, Norihisa YAMAMOTO**, Takayuki HIOKI*, Ikumi OTSUKA**

概要

1 はじめに
本稿は、鳥取県の海岸砂丘に位置し,自然植生が残存する保安林指定地で企業研修施設の建設周りで導入した植生管理による修景技術に関する実践事例の報告である。
我が国では、砂浜の自然植生は全国的にも減少を続け、植物群落レッドデータブックによれば保護の必要性が高い植生タイプに区分されるなど保全要請が高いエリアである。その中で計画地は比較的小規模な砂丘であり、植物の生育制限要因である飛砂や潮風の影響が強く、それらの強弱の変化が狭い範囲で起こっていると考えられることから、立地条件をきめ細かく把握して評価し、それに対応した土地利用と植生管理を実施していくことが求められた。

2 立地評価の方法と結果
立地条件については、地形・地質などの基盤条件と植生条件との対応関係を、広域的な視点と計画地周辺の視点からとらえ、植物生育の制限要因の種類や制限要因の強さを評価した。
これらの基礎調査と解析の結果を総合し、建物玄関周りのシンボル的景観や前庭の庭園的景観などと調和する修景イメージからの要請ならびに保安林の土地利用規制条件を重ねて、海岸砂丘植物の生育環境に適した植生管理方針を示した。

3 土地利用ゾーニングと植栽区分
上記の解析評価を基に、「代償度」の区分を行った。代償度は管理圧区分を示しており,動態的に捉えることができる。
本計画では,代償度を6段階に区分した。区分1のほとんど整備や管理の手間がかからない自然植生を保全する区域から区分6の初期の整備において造園樹木を新たに導入し,日常的・庭園的管理が必要となる区域まで、自然植生から建物周りの植栽地まで連続した植生景観が創出できた。

 

「海岸砂丘地での企業研究施設周りの修景技術 -植生管理を中心として-」をダウンロード

report_07_tottori.pdf(922.1KB)

* 鳥取大学農学部、** 株式会社 愛植物設計事務所,
*Tottori University, **Ai-shokubutsu Landscape Planning Office Co., Ltd.