水戸の郊外に位置するこのホテルの特徴は、敷地に残されたコナラの雑木林を再編した‘雑木の庭’と、それと同質の緑を骨格にして、西欧の趣を持つ種を加えた建物外周の‘洋風ガーデン’、及び室内の大空間に‘トロピカルガーデン’の三タイプの緑を併せ持つことである。
所在地: 茨城県水戸市千波町 建築設計: 日本設計 外構設計: 愛植物設計事務所 設計年次: 2001年
‘雑木の庭’、‘洋風ガーデン’、‘トロピカルガーデン’の三タイプを計画した狙いは、来訪者の、宿泊、宴会、会議、結婚式などの多様な利用を想定し、それぞれの性格に合わせて自由に好みの緑空間を選択できるようにする事である。
既存樹林は、夏期は葉が茂り林内が暗くなるため衰弱木や過密な樹木を間伐し、林を明るくして敷石の散策路を計画し、「森の緑の中にあるホテル」を演出した。また、ヤマボウシ、イロハモミジ、ヤマツツジ、ミツバツツジ等の里山の季節を演出する樹種と、冬期の緑を提供し遮蔽植栽としても機能するモミ、シラカシを捕植し、季節の彩りを加えた。
建物周辺は既存樹林の景観がつながるようにコナラ・クヌギ等を緑の骨格として植栽し、これと花木・紅葉樹を組み合わせて四季の変化を楽しめる景観を演出した。
開閉式の屋根のあるアトリウムには、樹形や葉色に特徴のある耐陰性の亜熱帯植物を沖縄県より指定して導入し、南国をイメージする非日常的な景観を演出した。
沿道の緑
雑木林に囲まれた車回し
西欧風の建物の窓先に連続する‘洋風ガーデン’
沖縄県より指定した耐陰性のある亜熱帯植物を導入した室内大空間の‘トロピカルガーデン’